落ち込む遥を見て蓮は遥を抱きしめた。

「ずっと逢いたかった。東京でのことは勘違いさせた俺が悪いと思ってる。電話してた相手はお客さんだよ。高校時代の後輩。どんなこと聞いたかわかんないけど俺には遥が必要。遥じゃなきゃだめなんだ。ずっとそばにいてほしい」

 遥はうつむき悩んでいた。

 何を信じればいいのかわからなかった。

《人を好きにならなければ、付き合わなければ、別れもないし、誰も傷つくこともない…》

「今は答え出せないし、もし出たとしても私からは何も言えないかもしれない…」

 蓮はうなずいた。

「うん、わかった。俺らのことはもういいや!なんかあったんだよな?」

 学園祭のことやキャバ嬢をしてたことなどを話した。

「ツレ目線で言うと遥は親のチカラ借りずに頑張ってやったんだからすごいよ。でもな、親や社会人から見ると未成年でホステスはどうかと思う。お金もみんなで考えた方が良かったし、まだ親に飯食わしてもらってるんだから親には話すべきだったんじゃない?」

 遥は複雑だった。

 蓮が自分の行動に賛成してくれるはずと思っていた。

「蓮は大人だね!私は一緒にやる人たちとチカラを合わせては頑張れるけど親ねチカラ借りたりは無理」

「遥の考えはすごいけどメニューだって材料だって親がいたからできたことじゃん」

 蓮の意見を聞くといかに自分が子供なのかよくわかった。

「遥はこれからどうするの?家に戻らないの?」

「今は戻る気はない」

 蓮は遥の隣に来て軽く頭を叩いた。

「どこで生活するんだよ。他の男のとこに行くぐらいならここにいても」いい。でも、これだけは覚えておきなよ。今回のことは間違いなく遥が悪い。頑張ったことはすげ〜けどな。親に嘘ついてまでやることじゃない」

 蓮は立ち上がって浴室にむかった。

 冷静に考えお店に断りの電話を入れ、しばらく蓮のマンションから学校に通うことに決めた。