夜中、話し声で目が覚めた。

(あれ!?蓮がいない)

 部屋を見渡すとトイレから明かりが漏れていた。

 トイレで蓮が誰かと話してるのに気づいた。

「今、仕事の研修で東京に来てるんだって」

「うん。そう」

「クリスマス、一緒に過ごしたじゃん。浮気してないじゃん。」

 誰かとの話が聞こえた。

 涙がこぼれてきた。

 最悪だった。

 布団の中でずっと泣き続けた。

 泣き疲れて寝てしまった。

 朝早く起きて、蓮が寝ているのを確認して1人で部屋を出た。

 ロビーで東京駅行きのバスの場所を聞くと急いでむかった。

(もう信じられない。ずっと2股だったなんて!)

 こらえていた涙がこぼれだした。

 バス停にはバスが待っていたのですぐに乗り1番後ろの席に座った。

 蓮を置いたままバスは走りだした。

 東京駅に着く頃には気持ちもかなり落ち着きホームで携帯を見た。

 蓮から何回も電話やメールが届いていた。

 着信履歴を消そうとした時携帯が鳴った。

 どうしようか迷っていた。

 はっきりさせたいと思い電話に出た。

「もしもし」

「急にいなくなってどうしたの?」

 少し沈黙が続いた。

「何かあった?」

「昨日の夜に蓮の電話を聞いた」

 何も答えない蓮。

 余計に悲しくなった。

 こらえようとするほどこぼれる涙。

「もうつらいの。何もかも嫌になる。一緒にいるとますますつらくなる」

 遥は携帯を切った。

 恋の本当の終わりを意味した。