突然、激しく雨が降り出した。

「すげ〜雨。今日は家まで送ってくな」

 遥は少し不安な顔をした。

「うん」

 しばらくして急に車が止まったので遥は頭をぶつけた。

「いったぁ〜い。どうしたの?」

「ちょっと待ってて」

 蓮は車を降りてどしゃぶりの中を走っていった。

(どうしたんだろう?)

 遥は蓮の走っていった方をずっと見ていた。

 何かを抱えて戻ってきた。

「すげ〜濡れた」

「どうしたの?」

「こいつがいたのを見つけたんだ」

 子猫が蓮の服に包まれていた。

「ニャ〜」

「かわいい!」

 ベタベタに濡れたので車の後ろに行き、タオルで子猫を拭いてその後服を脱ぎ作業服に着替えた。

「お待たせ」

 子猫はお腹が空いてるようで遥の指をずっと吸っていた。

「コンビニ寄るな」

「うん」

 マンションの近くのコンビニでミルクを買って部屋に入った。

 子猫にミルクをあげるとすぐに飲み始めた。

 2人でしばらく見ていた。

 子猫はお腹がいっぱいになったのか遥の膝の上で寝てしまった。

「かわいいね。でも、どうしよ〜。飼えないし」

「ここで飼うよ」

「ペットだめでしょ」

「いいって!大丈夫。名前はどうする?」

「蓮が決めていいょ」

 しばらく考えていた。

「虎之介!」

 蓮は子猫を抱きかかえた。

「今日から虎之介な。俺と一緒に暮らそうな」

「良かったね。虎之介よろしくね。今日は私がご飯作るね」

 ご飯を食べて時間がきたので家まで送ってもらった。

 蓮に抱き寄せられて唇を重ねた。

「遥、またな」

「今日はありがとう。虎之介バイバイ」

 車が見えなくなるまで立っていた。

(ずっと蓮と一緒にいたい)

 遥にとって蓮は大きな存在になっていた。