食事が済んで蓮は立ち上がった。

「遅くなるとまずいから送ってくよ」

 遥は立ち上がろうとしない。

「遥?」

「今日は帰りたくない」

「治療しないといけないじゃん」

「持ってきた…」

 しばらく沈黙が続いたあと蓮は遥を抱き寄せた。

 接吻(くちづけ)をした。

「遥、好きだよ」

「わたしも」

 2人はひとつになった。

 心苦しさがなくなったのか遥は無邪気な顔で眠っている。

 そっと唇を合わせ蓮も横になった。

 蓮は眩しい日差しで起きた。

 腕を伸ばし遥を抱き寄せそっとキスした。

 遥は目が覚め、蓮の胸に顔をうずめた。

「おはょ」

「おはよ。遥、俺と一緒に暮らさないか?」

 驚いて遥を見た。

「すごい嬉しいけど無理だょ」

「そっか…。やっぱ無理だよな」

「ごめんちゃい」

 学校があるので朝食を済ませ、学校まで送ってもらった。

「また夜な」

「うん。ありがとう」

 車が見えなくなるまでずっと見ていた。

 見えなくなりそうな時、誰かが目をふさいだ。

「だれだぁ?」

「由香!何してるの?」

「な〜んだぁ。わかるの。おはよ」

 ひょいと前に出た。

 遥の服を見てニヤニヤした。

「あ〜!服おんなじ。どうしてかなぁ?よくおじさん、許してくれたね」

 あわてて人差し指を唇にあてた。

「シィ〜。内緒だよ」

 遥の顔を下から覗きこむように見た。

「何、ごちそうしてもらおうかなぁ〜」

「え〜!」

「今日、遥の家に遊びに行こうかな?」

「わかったぁ。お昼にね」

「やったぁ」

 話ながら歩いてると講義室に着いた。

「じゃあ、お昼に食堂ね」

「あとでね」