「聞こえたか?」


大吾が逃げるように去った方向に目を向けたまま、取り残されたうさぎが一人言を呟いた。

…いや、一人言ではない。


「バッチリ。」


路地に入る曲がり角から、三つの頭がひょっこり出てきた。

景時、薫、小鞠だ。


「だーいぶヤバいコトになってンじゃん?」


薫がゴツい手でスキンヘッドをツルリと撫で、首を鳴らした。


「ばんどやらなにやら、よくわからぬが…
とりあえず、妾はゆく。」


「わっ私も行く!!」


睫毛を伏せて片手で長い髪を背に流しながら言ったうさぎの言葉に、ファイティングポーズを取った小鞠が追従する。

…足が震えてるヨ、小鞠サン。


「…そなたは邪魔じゃな。」


「ええぇ?! ヒドっ?!」


うん、うさちゃん酷い。
頑張ったのにね、小鞠ちゃん。

でも、激しく同意。