珍しいこともあるものだ。

また明日、と挨拶が飛び交う放課後の教室で、うさぎ包囲網が解かれた。

いつもオナモミのようにくっついている景時もいない。
いつも少し距離を置いて目を光らせている薫もいない。
いつもトイレにまで一緒に行きたがる小鞠もいない。

うさぎは一人で帰り支度をしていた。

今日に限って、どうして…
無理なら諦めもついたのに。

でも、好都合。

そうだろ?

大吾は一瞬きつく目を閉じ、覚悟を決めた。


「鬼神サン。」


「どうした、大吾。」


「その…祥子、今日休みだろ?
ちょっと困ったコトがあるらしくて。
鬼神サンに相談したいみたい。
祥子の家まで、一緒に来てくれる?」