「景時。
恐れず、その鬼の顔を見ろ。
そして思い出してやるが良い。
その者はおそらく…」


「…
うん。」


「…
今宵はもう眠れ。」


抱きしめたあたたかい身体と髪を撫でる手の感触が、寒さも悪夢も消していく。


(情けねぇ。
助けてもらってばっかだわ。)


でも、もっともっと甘えたい。

だから、君にも甘えて欲しい。

君がいれば、俺は大丈夫。

だから、君にもそう思って欲しい。

月よりも、過去よりも、俺を見て?

なんなら、俺だけを見て?

君の全てになりたい。

君の全てが欲しい。

でも、とりあえず差し当たっての願いは、俺が目を醒ますまで抱きしめていて…