彼は席を立った。 カウンターに並んで座っていた友人だった男に背を向ける。 「殴るなり、チクるなり、好きにすりゃイイじゃん。 言ったろ? 断る。」 ドアノブに手をかけたところで、背後から狂ったような笑い声が聞こえた。 「俺がダチに手ぇ出すワケねぇじゃねーかよぉぉ。 でも… オメェこの前、結構イイ女連れてたよなぁぁぁ?」 ヒャーハハハハハハハハ!! 耳を塞ぎたくなる声を、古びたドアが遮断する。 連れ戻したかった。 だが、引きずり込まれそうだ。