赤い月 参


ぶふっ!!

口に含んでいた茶を豪快に噴き出した。

顎から滴る茶を拭うことも瞬きすることも忘れて、赤い顔で口を開けたまま自分の背後を凝視する様子に、景時は少し気の毒になった。


(ぅわぁ… デジャブ。
気持ちはわかるよ。)


ゴメン、パーフェクトも一瞬で崩壊するよね。


「…
景時…
オメェ、ソレは無茶しすぎだろ。」


同じように景時の少し後ろを見ていた秋時が、呆れたように口を開いた。


「いやいや。
コレは俺じゃなくて、祥子(ショウコ)ちゃんが。」


「おまえのクラスの前田(マエダ)さん?
あのコ‥‥‥‥‥
イイ仕事すンなぁ。」


イイ仕事。
ある意味、ソーデスネ。
俺も、そー思っちゃったもん。

景時は数十分前のことを思い出していた。