(良かった、生きてる。)
水原の顔が安堵に輝いた。
「うさぎさん!
手を! 手を掴ん」
「何故ここに来た?」
『闇』が濃くなり、重さを増していく。
もうあまり猶予はないのに…
目を閉じたまま同じ言葉を繰り返すうさぎに、水原は不安と苛立ちを覚えた。
「助けに来たに決まっているじゃないですか!
早くしないと『闇』に」
「そう。
そなたは闇に飲まれる。
なのに何故、妾を助ける?」
沈む…
沈んでいく。
白く細い首が穢される。
「わ…私の責任だからだ!」
「妾は鬼。
そなたの親の仇。
放って逃げよ。」
沈む…
沈んでいく。
美しい頬を、輝かしい髪を、清らかな人を、『闇』が穢す。



