赤い月 参


(良かった、生きてる。)


水原の顔が安堵に輝いた。


「うさぎさん!
手を! 手を掴ん」


「何故ここに来た?」


『闇』が濃くなり、重さを増していく。

もうあまり猶予はないのに…

目を閉じたまま同じ言葉を繰り返すうさぎに、水原は不安と苛立ちを覚えた。


「助けに来たに決まっているじゃないですか!
早くしないと『闇』に」


「そう。
そなたは闇に飲まれる。
なのに何故、妾を助ける?」


沈む…
沈んでいく。

白く細い首が穢される。


「わ…私の責任だからだ!」


「妾は鬼。
そなたの親の仇。
放って逃げよ。」


沈む…
沈んでいく。

美しい頬を、輝かしい髪を、清らかな人を、『闇』が穢す。