足に、腰に、全身に、『闇』が絡みつく。
払っても。
払っても。
思うような存在に成れなかった『闇』はせめてもの宿主を求めているのだろう、執拗に水原に纏わりついて離れない。
だが、水原は『闇』を振り払うことすらやめた。
胸の辺りまで『闇』に沈み、力なく目を閉じるうさぎを見てしまったから。
鬼気など微塵も感じられない、儚いその姿。
まるで‥‥‥
(死んで…)
水原は血が滲むほど唇を噛みしめた。
『闇』に絡め取られて縺れそうになる足を必死で動かし、徐々に沈んでいくうさぎに手を伸ばす。
届け、届け、後少し…
「何故ここに来た?」
彼女の口が開き、低い声が漏れた。



