赤い月 参


「そんな… 私は…」


水原は整えた黒髪を両手で掻きむしり、崩れるように地に膝を着いた。

蒼龍は爛々と燃え上がる金の瞳で水原を一瞥すると、グングン天に昇り始める。

夜空を覆う、その名に相応しい、碧く猛々しい巨大な龍。

軽蔑と怒りを込めた神の砲声が、水原の脳に直接響いた。


 しかし我が助けてやろう
 闇を孕んだこの泉はなんとか してやろう

 姫との約束だ

 だがおまえは、ここで鬼神と 龍神の力に巻き込まれ、その 身を千に引き裂かれて死ぬが いい、下賤な人間よ!!


「そういう訳にもいかぬだろう…」


不自然に波立ち始めた泉を見て、うさぎは眉間に細い指を当てた。