赤い月 参


先程よりも激しさを増した龍の気が溢れ出し、空気を震わせ、周囲の木々を騒めかせる。

なのに泉を中心とした狭い円の外側は静かで、何も変わった様子はない。

薫の結界だ。

景時と秋時の準備も、整ったのだろう。

いつでもやれる。
だが、水原がここにいては…

うさぎはチラリと泉に目をやった。

もう限界は近い。

でも、水原を避難させるくらいの時間なら…


「蒼…」


「人間はいつだって姫に守られているのに、いつだって姫を傷つける!!」


大好きなうさぎの声も耳に入らないほど、蒼龍は逆上していた。


「絶望しながら死んでいくがいい、愚かな人間よ。」


小さな躰が浮かび上がり、ゆっくり上昇していく。