水に濡れた様子もなく光の中に浮かび上がる、二人の人物。

テレビや映画でしか見たことがない古い衣装を着た、澄んだ海のような碧い肌をした少年。

その隣に立つ、赤い着物を遊女のように着崩しているのに、やけに高貴な…


(うさぎさん…)


池の光は小さくなるのに。
闇夜が戻って来たのに。

彼女が放つ銀の光は消えない。

夜を、闇を、統べるオニ。

水原は唇を噛んでうさぎを睨んだ。

その視線を感じたのだろうか、うさぎが彼に気づいて目を見開いた。


「尚人…」


「あれ、誰?
さっきはいなかったよ?」


不思議そうにうさぎの袂を引いた少年が、急に何かに思い当たったかのように、金の瞳で鋭く水原を射抜いた。