(そりゃ、笑えねぇわ。)


お互い表情もなく見つめあったまま。
長い時間が過ぎたような気がするけど、三人はまだ戻らない。

月明かりの下、静寂に包まれて二人きり。

鬼と人…

だが、沈黙を破った景時の言葉は、およそこの場にそぐわないものだった。


「ねぇ。
俺にもご褒美ちょーだい?」


「‥‥‥は?」


「さっき、あのボーズにやってたじゃん。
イイでショ?
俺も頑張るからさ。」


「…
そなたまで、童のような…」


うさぎが呆れたように首を振る。

そしてしばらく景時を見つめた後…やけに寂しそうに微笑んだ。


「…そうじゃな。
そなたにも褒美をやろう。」


うさぎは景時の背の高さに合わせて浮かび上がり、彼の赤い前髪を白い手で撫で上げた。

長い睫毛をそっと伏せ、その額に口づけを…