赤い月 参


ピョコンとうさぎの膝から飛び降りた蒼龍は、地面に片手を翳した。

瞬く間に水が湧き出し、小さな水溜まりを作る。

そこに足を踏み入れた蒼龍は、キラキラした目でうさぎを振り返った。


「見ててね。
ボク、ちゃんと行けるよ!」


「頼もしいぞ、蒼。
では、ゆくが良い。」


うさぎに頭をひと撫でされて得意満面の蒼龍が、どう見てもただの水溜まりの中に沈んでいった。


「うっそ。
あのボーズ、ドコに消えた?」


薫が後に残った水溜まりを、足でチャプチャプつついた。

すぐに底に爪先が着くし、とても潜れそうにない。


「蒼は龍泉から龍泉へ出入り自由なのじゃ。
今頃、麓の泉に出ておるじゃろう。
西洋魔術とやらの結界を破るまでもなく、な。
…どうした?」