「ゴメンナサイ。」
「…
話を聞き逃したくらいで、そこまで頭を下げずとも良かろう…」
ソファーの上に正座して、つむじを見せて謝る景時に、なにもわかっていないうさぎは少し引いたようだ。
「だから…
説明するのも面倒じゃから、勘違いさせておいてはどうじゃ?
よくわからぬが、会えばその者も納得するのであろう?」
「へ? どーゆー…」
「つまり、そなたが『主人』。
妾が『使い魔』。
そう演じて、その者に会えば良いのではないか?」
ポカンと口を開けた景時の肩に、脳内天使が舞い降りた。
次々に現れる天使たちが白い花を撒き散らし、手にしたラッパで結婚行進曲を奏でだす。
条件は毎日ココアじゃ、と目を輝かせる、隣にいるはずのうさぎの声もやけに遠い。
一気にストーカーから『主人』に昇格。
いやいや、待て待て。
うさぎは妻じゃなくて『使い魔』だから。
でも昇格。
いやいやいや、落ち着け。
ソイツと会う日限定だから。



