秋時の車の後部座席で、うさぎが手早く用意したおにぎりを頬張りながら、景時と薫はなんとなく遠足気分で目的地にやって来た。

山の麓の池ではない。
助手席に座ったうさぎが案内したのは、山頂付近の少し開けた場所。

街の夜景がキレイに見渡せるが、車を降りて歩かなければ辿り着けないため、人の気配はない。

強力な気を感じるわけでもなく、特別なところなど一つもない山の中。

そこに結界を張れと、うさぎが言った。

正しくは『そこに』ではない。

空に。

なるべく広く、なるべく高く、短時間でいいから誰も夜空を見上げないような結界を。


「奴は派手好きじゃからな。」


理由を聞いたら、返ってきたのはこの答え。

なんとなくは、わかるよ?
今からナニが起こるのか。

ジジィまで、年甲斐もなくワクワクしてるし。

でも… マジデスカ?