赤い月 参


ソファーの隣に座れるようになった。

君の肌にも髪にも、触れられる距離に来た。

君の考えてるコトも、少しならわかるよ。


「‥‥‥‥‥よい。」


でも、もっと。
もっと欲しい。

留まるところを知らない欲望が、景時を突き動かす。


「条件は‥‥‥‥‥」


彼女の髪を絡ませた手でその後頭部を抱え寄せ、そして…


「…聞いておるのか?」


形の良い眉を寄せたうさぎの顔が、目の前にあった。


「…ナンデシタッケ?」


状況を把握するまで数十秒。
景時はマッハでうさぎから手を離し、彼女の瞳にも負けないくらい赤くなって、飛び上がった。

近っっっっっ!!

ナニシテンノ、俺?!
早まるな、俺!!
今はまだストーカーなんだ!!
ソッコー警察呼ばれンぞ!!
いやいや、相手はうさぎだ。
ソッコー殺られンぞ───!!