「うさぎってさー…」


大吾のブレザーを肩に羽織ったジャージ姿の祥子が、自転車の荷台で呟いた。

住宅街の街灯を頼りに自転車を漕ぐ大吾には、彼女の表情は見えない。

だが…

何を言おうとしているのかは、なんとなくわかる。

祥子もあの場にいたのだから。

あの時のうさぎを目にしたのだから。

大吾は黙ったまま、祥子の言葉の続きを待った。


「変身とか、出来ンじゃないかと思うワケ。
ポーズ決めたらベルトが回る、みたいな?」


…ソレ、なんて仮面○イダー?

大吾は吹き出しそうになった。