立ち上がることもできず、こちらに手を伸ばす奴。 あの衝撃を受けたのだ。 まだ身体中痛むだろう。 だがこのまま放っておけば、きっと逃げ出す。 いや、逃げるのに手を貸す? 俺は… 「ソイツ、お友達なの?」 作業を終えた景時が、膝の汚れを払いながら大吾に声を掛けた。 友達…なのか? 今も? 俺の大切なものを壊そうとした、今も? 「‥‥‥‥‥ 友達だ。」 大吾は項垂れ、掠れた声を絞り出した。 「そっか。 じゃ、殴ってやれよ。」 静まり返ったライブハウスに、軽い声がやけに重々しく反響する。