「入学初日から、

お前等は一体何をしているんだ!

立ち入り禁止の屋上の鍵を

職員室からくすねて

無断で立ち入った挙げ句、

二人して自殺未遂だと?

学校始まって以来の事態だぞ!」


入学式の後、

僕と篠宮いのりは

生徒指導室で先ほどの

男性教師に大目玉をくらっていた。


ガタイの良い男に

上から見下ろされながら

怒鳴られる。

すっげー怖いいやマジで。


男性教師を前に完全に

肩をすぼめてびびる僕は、

視線をちらりと隣へ移す。



「職員の鍵の管理が甘いのよ、

こんな入学したての美人女子高生に

易々と鍵を盗まれるなんて、

職員として恥じるべきね」



ふん。と鼻をならして

篠宮いのりは男性教師に

くってかかっていた。


明らかにこちらに非がありながら

それを微塵も反省せず、

それどころか逆に職員を非難している。

恐るべし篠宮いのり。


しかし出会った頃から

(といっても出会ったのはつい

数時間前なんだけれど)

気になっていたのだが、

正統派美少女だの美人女子高生だの

この女は自分で自分を持ち上げた

台詞がやや多い気がする。


確かに美少女ではあるが、

大抵の女子は自分の評価を

低く、他人の評価を高く

するものなんじゃないだろうか?


「篠宮!

お前反省しているのか?!

朝からお前達のおかげで

職員一同大騒ぎだぞ!」


「あたしの知ったことじゃないわね。

せいぜい自分達の不注意を

思う存分反省するがいいわ」


「お前なあ……っ!」