「綺麗~」
海沿いを走る20台ほどのバイク。
まぁ、うるさいけど、海は綺麗だから許してやろうと思う。
「ねぇ、海だよ、海!!」
「んなの、見りゃわかる」
龍希の背中をバシバシと叩くと、冷たい返事が返ってきた。
だから、ちょっと小さな声でもう一度「海」をアピールした。
「ねぇ、海…」
「……見てくか?」
「もう、見てるし」
「違ぇよ」
「じゃあ、なんだよ」
「砂浜降りるかって聞いてんだよ」
「じゃあ、そう言え、タコ!!」
「……」
「……」
「……」
「…ごめんなさい」
急に黙ったから、もしかしたらバイクから振り落とされんじゃねぇかって心配になったから謝っておいた。

