「じゃあ、仮に私がその神崎亜優だったら、何なのよ」 「………別に」 龍希はふいっとそっぽを向いた。 「はぁ!?だったら早く帰しなさいよッ!!」 私は、ぶんっと勢いよく手を振るが、相手も男。 私の腕は簡単には抜けない。 一番真面目で優しそうな大河さんに目を向けると、困ったように眉をハの字に下げた。 おい!! 助けろよ!!! そんな私の叫びは届きそうにもなかった。