「ごめん、お待たせ」 「あ、大丈夫」 麻衣が人の群れから出てきた。 私は人の群れに飛び込むのが嫌だったから少し外で待っていた。 「ってかぁ~、なんで“蝶龍”はなくなっちゃったんだろうね~」 歩き出した私たちの背中に聞こえてきた話し声に思わず私は勢いよく振り返った。 そのグループは「何?」と言いたげな顔で私のことを睨みつけた。 「あ、すみま、せん…」 私は軽く謝罪の言葉を口にして、また歩き出した。