ある冬の日




「今日の授業は前回に引き続きバレーボールをします」



やった!バレーボールは好きだから楽しそうだな~。



「それじゃ試合の前にまずは班ごとに練習も含めたボール慣らしをして下さい。えっと4組の方は確か今日から転校生の山田が居るんだよな。じゃあ山田は」



「里絵ちゃんウチらの班に入れてください」



先生にそう言ったのはさっき私に話しかけてくれたりかちゃんだった。



「ウチらの班5人しかいないし」



「そうか、なら山田は岡田たちの6班で練習してください」



先生が列の端にいる私を見て言った。



「はい」



私がそう言ったとき、合同で授業を受けているクラスの方からいくつかの視線を感じた。それと同時に「転校生!?」「マジかよ」「すげー」「あの子かわいい」なんて言葉も聞こえてきた。



生徒全員がおとなしく座って先生の話を聞いていたこの空間では、そういう言葉とか視線とか全部聞き取れちゃうんだよね。



さっきのHRのクラスのみんなからの視線も、今の合同で授業を受けているクラスの子からの視線も、例えみんなに悪気は無くても、私にしてみたら正直、痛くてツラい武器になっちゃうんだよな。



べつに私、特別じゃないのに……普通、なのに。



私は暫くうつむいた。