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まるで珍しいモノでも見るかのような、みんなは最初、私をそんな風な目で見てきた。
「えー、今日からこのクラスで共に授業を受けることになった転校生の山田里絵さんです」
中学3年生になった私は新しい学校に転校した。
「山田里絵です。よろしくお願いします」
担任の島野先生に言われた席に着くと、一瞬クラスみんなからの視線を感じた。
これは転校生の宿命。もうほんとに慣れた。
でもね、1つだけ言わせて。私だってみんなと同じ中3なわけで、別に珍しい生き物でもなんでもないんだから。みんなと同じ普通の人間なんだから。
……わかってほしいです。
「1時間目体育だからたらたらせず急いで準備するように。教科担任の先生に迷惑掛けるなよー」
担任の先生がそう言って朝のHRが終わると、クラスのみんなは体育の準備に取りかかった。そしてどうやら女子は着替えをするために全員更衣室へと向かうらしい。
なんとなく雰囲気でわかった。
休み時間の騒がしい教室の中で、私はとりあえず女子のみんなに遅れないようにと焦る。
