ある冬の日




ピー、という一際大きな音が体育館全体にまんべんなく響きわたった。



その音は教科担任が試合終了を知らせるために鳴らした笛の音だった。



「よっしゃ!次俺らだな。頑張ろーぜ!」



こいつ、気合い入りすぎだろ。



オレに『頑張ろーぜ!』と言った後、軽く準備体操をし始めたそいつを見て若干こいつとペアになった事を後悔した。



ん?でもなんだこの違和感。



あ、そっか。こいつシャトルを落としたくないんだった。



それでこんなに気合い入ってるって訳か。なるほどな。



……でも、ぶっちゃけ、落ちると思う、シャトル。



じゃなかったら勝負にならないしさ。



だけど、努力はしよう。落ちないための。



「おう。なんなら今日全勝して優勝しちまうか!」



オレらは冗談半分にそんな事を言いながら笑いあった。



結局、トントン拍子に事が進んでこの冗談が現実になったときは正直驚いたけど。



でもまあ部活のときの優勝とは感覚が違うにしろ、やっぱり“優勝”って響きは良いもんだなとこのとき改めて思った。



ってオレ、バドミントンじゃなくてサッカー部だったけど。