ある冬の日




「俺ら最初審判だってよ」



「おう」



こいつもオレも、ラリー3分間の挑戦が達成できなかった事をお互い口には出さなかった。



教科担任が次に出した指示は、トーナメント形式で男女別にダブルスの試合を行うことだった。



オレたちは最初審判の役目だったから審判を担当するコートまで小走りで向かった。



コートまで向かう途中、オレたちの間に会話は一切ない。



だけどコートに着いて審判をやる位置まで行くとまたいつもの感じに戻った。



「早く(給食の)カレー食いてえ~」



「もうすぐ授業終わるだろ」



「いや、そうなんだけど!俺は今すぐに食いてえんだよ!今すぐに!」



こうやって悪い話を引きずらないところが男の潔さだと思う。



まあ、女に振られたときは別だけど。



審判なんてかっこいい事言ってるけど、実際ほんとのバドミントンのような素人には気難しく感じる細かさは必要ない。



何せ遊びに近い体育の授業だから、コレ。