ある冬の日




「ふー!やっぱモテる男は罪だな~」



オレとこの女子に向かって、無惨にも挑戦が終わってしまったそいつが言った。



「るっせ」



こんなときに茶化すなよな。あーめんどくせ。



「あ、あの、ほんとにすいませんでした!」



その女子はオレらにそう言うと、ペアの子と一緒にオレらの左隣とは違う別の場所へ走って行った。



それから直ぐに教科担任が練習終了を知らせる笛を鳴らした。



くそ、教科担任。もう少しだけはやく鳴らしてくれてたらオレらもあの女子たちも不快な思いしなくてすんだのによ。



まあ、教科担任を憎んだところで何かが変わるわけじゃないってわかってるんだけどさ。



ここは教科担任だけを責めた方がなんとなくこの気持ちの浄化が素直に出来る気がした。



第三者の存在って、なにかと便利なんだな。



言い訳ができるから。



でも少し、そういうのって、恐ろしい存在なのかもしれない。



起こった問題そのものを、無かったことにできるから。