ある冬の日




明らかにノートの切れ端をちぎったであろう千尋からの手紙。



千尋ちょっと男っぽいところあるもんな~。



なんて思いながら手紙を開くと、



『確かにそうだね 笑 あ、今日帰り授業でわからなかったところ先生たちに教えてもらいに行くから梨華先に帰ってもいいよ』



文の最後に千尋が自分で考えた笑顔のゆるキャラのイラストがシャーペンで描かれてた。



そっか、そうだよね。



……なんか、申し訳なかった。



顔をあげて千尋を見ると、千尋はきちんと背筋を伸ばしてスクリーン画面に視線を向けてた。



「はーい。じゃあもうすぐ授業終わるからまだ途中だけど今日はここまで。悪いけど両端の人はカーテンを開けてください」



音楽の教科担任がそう言ってDVDの電源を切った。



カーテンが開けられると、暖かい冬の日差しが窓から入り込んできて眩しい。



目が慣れるまで少し時間が掛かった。



それはみんなも同じだったっぽい。



この席からみんなの後ろ姿を見てると、あくびをする人や背伸びをする人たちがちらほらいた。