しんみりと馨に怒られたことを反省しながら、

これまた大きな辞典を読書中の日和は驚いた。

「さーちゃん、ベートベンを覚えてたのね!?」

こ、これは快挙だわと大騒ぎする親友を横目に

この間マコと買い物をしていた時にあった果物

のスチューベンを姐さんは思い出していた。

「日和、ベートベンっていう果物あったのよ!」

「それ、何かの間違いじゃありません?」

「そんなことないわ。この間、マコと見たもの。」

それがスチューベンだということを未だ理解してない姐さん。

「マコ君がベートベンと言ったのですかね?」

「違うわよ。そう書いてあったのよ。」

「サユちゃん、それは一体どんな果物でした?」

「えっと、そうね。葡萄みたいなのよ。

粒は中くらいでいっぱいついてる。」

「そ、それは・・・スチューベンです。」

辞典を開いてバンバン見せる日和の指差す

方向にはスチューベンの写真と紹介。

どうやら、妄想する子は果物図鑑でも

読んでいるのか。

「サユリちゃんって、たまに抜けてるよね。」

「サユリンしっかり者に見えて可愛い!!」

姐さん、恥ずかしさに日和の後ろに隠れます。

「こ、これはたまたまよ。知ってたわよ。

す、スチューベンって果物食べたことあるんだから。」

知らなかったことが恥ずかしいと思う姐さん。

「サユ、知らないことが恥ずかしいことではないよ。

あたしも昔は葡萄の種類の豊富さに激怒した。」

「・・・・・あんた、そんなことで激怒してどうすんのよ。」

「でも、知らないことを知るからこそ勉強って言うんだよ。

それまで誰にも分からなかったことを発見するからこそ

面白いと学者は研究をするんだ。」

「あんたがまともなこと言うから少し驚いたわ。」

「なっ、あたしはいつでもまともなこと言ってるぞ!」

姐さん、日和の言葉に曖昧な相槌を打った。

「因みにベートベンがどんな人か知ってますか?」

「どんな人って・・・パスタみたいな髪型だった

のは覚えてるのよね。えっと・・パイロット?」

姐さん、たまに天然化現象を引き起こします。

綺麗な見た目とはまた違った顔。

ツンデレ姐さんのチャームポイントだ。