極寒の地へ派遣に行ってまいります。
「あんた、その格好で行くの?」
「ええ、何か?」
ひざ掛けをぐるぐる巻きに巻いているあたしに
サユは盛大なため息を吐いて見送ってくれた。
もうそれは死ぬんじゃないかと思うほど、
手が凍ったことに水道を恨めしく見た。
あたしの失態が原因だとは言え、冬の水道
は憎っきあたしの天敵である。
ブーブ言いながら戻ってきたあたしに
サユがそうと相槌を打ってくれる。
これはもう長年の付き合いだから分かること。
「ひよっち!!」
年中、元気が取り柄の金髪印のクルミちゃん。
どんなに寒くてもスカートの丈は相変わらず
パンツが見えそうなぐらい短い。
一体、どうやっておパンツさんを隠しているのかしら?
若い内に出せるところは出しとけとはよく言ったものだ。
若くても流石にこの寒さでは手も足も出ない。
生足出せるとかその元気さが羨ましい。
あたしの足にはひざ掛けがぐるぐる巻きで
もふもふ温かいからぬくぬくしている。
「日和ちゃん、サユリ、おはよ。」
彩乃ちゃんですらスカートは短い。
クルミちゃんほど短いわけじゃないけど、
冬の女子高生はやりおる。
あたしは冬眠して春までもふもふしてたい。
「ひよっち、朝からご苦労様だね。」
「インクが溢れて机に変なシミが出来てしまったの!
決して、血痕ではないから!!」
隣人達が誤解されやすい人たちですが、彼らの
仕業ではなくあたしの仕業です。
「ウケる~」
クルミちゃんがケラケラ笑いながら机のところに
来てあたしの机に落書きをする。
それも何書いてるのか絵の内容が理解出来ない。
後で、授業中消すことになる。
あまり気にしなくていいだろうかね。
彩乃ちゃんとサユがショッピング話に華を
咲かせているから楽しそうで聞き耳を立てながら
クルミちゃんの落書きを横目に日誌をまた書き
続けることになった。