「日和ちゃん、またね。」

馨君、次に会う時は愚痴を聞いてもらうことになるだろう。

「ヒヨリン、学校でな!」

ユウヤ、あんたも宿題ちゃんとやるんだよ!!

「・・ひよこ、電柱にぶつかる。」

もうぶつかりましたよ、京様。

「ユキコちゃんに連絡しよっと。」

伊織君、ほどほどにね。

「ヒヨリン、サユリンによろしくなっ。」

ナル君の可愛さにしばしのお別れね。

「・・・・最近、丸蔵見ねぇな。」

ちぃー君、確かに最近全然登場してないよね!!

「じゃあな。」

慶詩の後ろ姿にしばらく頭皮に不安を抱かなくて

済みそうだ。

とんでもなくどんちゃん騒ぎの夏が幕を閉じようと

しているのだった。

みんなの後ろ姿を見ていると中々サユ家に入る

ことは出来なかった。

結局、流しそうめんは来年に延期らしいが

あたしは来年もまたみんなと夏を過ごせる

と思うと来年の夏が待ち遠しくなった。

そろそろ、秋の匂いが漂ってくるんだろうか?

毎年リンリンと鳴く虫の声は少しずつ聞こえ

始めていた。

秋になったらまたみんなに会えるんだよね。

そしたら、きっと秋は行事がたくさんあるもんね。

その前に、やることは多そうね。

兄ちゃんの就職先を一緒に探してあげないと。

中卒で雇ってもらえるところがあるかしら?

父さんに似て続かない性格だからすぐに

辞めて来たらどうしよう。

あの兄ちゃんのことで手いっぱいになりそうです。

夜風が体を包み込むその瞬間、微かに見える

雲の隙間から流れ星が見えた。

たったの一瞬のことでお願いごとをすることすら

忘れて唖然と立ち尽くすのだった。

ああ、なんていい機会を逃してしまったのだろうか。