あたしが傷ついてどうする。

こんなことをみんなはいつから知っていたんだ?

あたしが知らない内にどれほど傷ついてきたんだ。

それなのに、あたしは何も知らないで守ってあげるって

軽口叩いて何も出来てない。

守ることすらロクに出来てないじゃないか。

みんなには散々勇気を出すんだとか言って、

あたしは怖気づきそうになった。

「貴方も大変ですね、問題児を背負うことになって。」

副校長がこんなに嫌味な人間だったのかと思い知って、

軽蔑したのは言うまでもない。

だけど、何であんたは何も言わないんだよ!!

自分の生徒が散々な言われようで何黙って落ち葉を

見て微笑んでるんだ。

頭可笑しいんじゃないのって思ったのに、先生らしくない

そのピアスが日に当たって眩しく輝く。

「俺はあいつ等を問題児だと思ったことはありませんよ。」

ぐったりと手を脱力させた。

その後ろ姿はいつの日か見た弱っちい背中じゃなかった。

「相沢先生は優秀なお方だ。少し感化されているのでは?」

副校長め!!

今度、その口でみんなの悪口言ってみろ。

その口に落ち葉突っ込んでやる。

「そりゃ、多少突っ込んでやりたいこと仕出かすような

奴らではありますけど、あの子が居る限り俺は信じてますから。」

ふわりと風に舞って落ち葉が頭に乗る。

「ああ、相沢先生のクラスに居る従妹の立花さん?

あの子は文句の付けようもない模範のような生徒

ですから、私も一目置いてますよ。」

少し、副校長を見直した。

「俺はあの子が居なきゃ今ここには立って居られなかった

と思いますよ。あの子が迷惑被ることになってもアイツら

にはあの子のような芯の強いヤツが必要なんですよ。」

言葉を失って耳を澄ませる。

「でも、立花さんと彼らでは立場がまるで違う。

彼らが彼女を巻き込むことになり兼ねないんですよ?

彼女は我が校始まって以来の天才児だというのに。」

「その時は俺がどうにかしますよ。俺の生徒です。

俺はあいつ等をきちんと卒業させてやりたいんでね。」

少し馬鹿にし過ぎてた。

茶髪でピアス付けてチャラいヤツをナメテかかってた。