夜も暮れて、
結構、外は暗くなっていた。
「なぁ、桐谷……」
「ん?」
「今日、楽しかったか…?」
これだけは、聞いておきたかった。
俺みたいな無愛想な奴は
一緒にいてもつまんねぇって
思われてたら…って考えてたからな。
「ふっ……何言ってんの!すっご~く、
 楽しかったよ?それに、ここだけの話、
 私、男の子苦手なんだよね。だから、
 あんまり、上手く話せなくて…。
 こんだけ、話せるのは陸斗くらいだよ」
「そっ…そうか」
やべぇ…。
嬉しすぎて、動揺した………
何だよ、コイツ。
遠まわしに“俺は特別”みたいなことを
言いやがって。
…そんな、思わせぶりな態度すんなよ。
「それに、ストラップも、貰ったし。
 すっごく感謝してる。」
突然、桐谷が立ち止まって言った。
「ここ、私の家だから。じゃあ、明日ね」
桐谷は家に入ろうとする。
…もうちょっと、一緒にいたいんだけど。
やっぱりお前は、俺の気持ちなんて
分かってないんだな…。
「桐谷!…もし俺がお前を………っ……
 やっぱ、なんもねぇ。じゃあな!」
「えっ!?陸斗?どーしたの!!?」
遠くで桐谷が叫んでいるけど、
俺は走って逃げた。
…何言ってんだ、俺。
もう少しで、好きって言いそうだった。
そしたら、この関係も崩れる。
いままで、こんなに頑張って
距離を縮めたのに…。