死にたがりの魔法使いくんと死神ちゃん





「…どうしたの?リーダ」



頂いたパンを食べている時、ふとリーダが辺りをキョロキョロ見回していることに気付いた。



「ねぇ、死神ちゃん?」

「何?」

「いつも一緒にいる、あの魔法使いくんは?」

「ぐふっ。っ…ごほっごほ、ごほっ」



パンが気管の方に入ってしまい、むせる。


「あらあら、大変」


リタさんが、水筒に入った紅茶を差し出してくれる。



「あ、ありがとう、ございま゙す…」



私はそれを受け取り、口に含む。


「はぁ~」

「大丈夫?」


私が落ち着いたところで、リーダが話し掛けてくる。




「だ、大丈夫。…なんとか」


リタさんがもう一杯くれた紅茶を一気に飲み干す。
そこでやっと、落ち着く。



「…ねぇ、いつも死神ちゃんに引っ付いてるあの人は、今日はいないの?」

「リーダ…。それを聞いちゃう?」

「だって、いつも一緒にいるから」

「ちょっと!私とアイツがいつも一緒にいると思わないでよ!」



やっと、アイツがいなくなったと思ったのに、ここでまたアイツの話だなんて、御免だわ。


「もう有名ですよ。死神さんとあの方」

「え!!?」

「いつも2人仲良く、一緒にいるって」


リタさんの言葉を信じられない気持ちで聞く。



「う、嘘デスヨネ…?」


思わず顔がひきつり、カタコトになってしまう。


「本当だよー。もう死神ちゃんいるところに、魔法使いくんあり!って感じで」

「わたくしも、この間お2人をお見掛けしましたが、とても楽しそうでしたよ?」


リーダもリタさんも、2人して同じ笑顔で笑わないでーーーー!!!



「ちっがーーーーう!断じて違う!アイツが、勝手に…」

「僕がどうかしましたか?」



…え?




「あ!パン屋のご姉妹さんですね?ご無沙汰しております」

「こんにちは!魔法使いくん」



リーダは突然現れたことにも驚かず、普通に挨拶をしている。

リタさんはその横で、ペコッと会釈をしている。




「で、出たわね…っ!」


本当に神出鬼没だわ!



「あ、死神さん。先ほどぶりです」


語尾にハートマークが付いていそうなほどのハイテンションだな、コイツ。



「ていうか、アナタ仕事に戻ったんじゃ…」

「ええ、そうですよー」

「な、なんでここに」

「今だって、面倒な仕事中ですよ?」


その言葉に、はぁ!?となる。


「これから、隣の国まで客人をお迎えに………自分で来ればいいのに、なんで僕が…」


最後の言葉は聞かなかったことにしよう。
ていうか、コイツそんなに仕事が嫌なら、死にたいとか、とやかく言う前に、辞めればいいのにっ!!



「じゃぁ、こんなところでうろちょろしてないで、さっさっと行きなさいよ!」

「えー!いいじゃん、死神ちゃん!ねねっ!魔法使いくんも、一緒にピクニックしていかない?」


リーダ…っ!余計なことを言わないで!!
また、殺してくれだ云々騒ぐからっ!


「せっかくのお誘いなのですが、また今度ご一緒させていただきます」

「えーーー」



リーダは、残念がって、引き留めようとしているが、そんなリーダをリタさんが止めている。




「ありがとうございます。ぜひ、またお誘い下さい。それではっ!」


リタさんから、パンを受け取った後、アイツは人当たりのいい笑みを浮かべ、再び空へ旅立って行った。