どんどん拍手の音が大きくなっていく。

人々が魔王やキングの言葉に、心動かされた証拠であろう。



下界の者も、又、自分たちの住んでいる世界とは別の、魔界という世界に興味がなかった訳ではないのだ。



この機会に、下界と魔界は互いに、友好な関係を築いていけるであろう。すべての人々が受け入れるには、相当な年数はかかるだろうが、この2人―魔王とキングであったら大丈夫だろう。



とにかく、今回のことで下界に多大な被害がなかったことが大きな功績だと思う。
城下町だけで被害が済んだのは、事前にキングが魔界の子とコンタクトをとっていたことと、魔王が大人しく下界で過ごしていてくれたからなんだろう。

なんだかんだ、いいコンビになっていくのを期待していく。




チラッと横にいる魔法使いを見遣る。

彼もまた、今回のことで大きな功績を残したといえよう。
何せ下界の者、魔界の者、両者ともにケガもなく大事に至らなかったのは、すべて彼のおかげだ。


「どうしましたか?死神さん」



私か見ていたことに気付いた魔法使いは、首を傾げ、私を見る。


「なんでもないわ」と言って、首を横に振り、魔法使いから視線を外し、前にいる魔王とキングを見る。








これからのこの世界の行く末に、私は胸を馳せた。