「キング、話の続きを」


ゴホンと軽く咳払いをし、魔法使いが話の軌道を戻す。



「ウィッチが怒らないうちに、話しを戻そうか。…さっきも、彼女が言ってたように、今回、彼女から相談を受けてね」


「大臣の行動に不信感を持ったわたしたちは、自分たちだけでは魔王様を守りきる自信がなかった為、ユイ様に魔王様の保護をお願いしたのです」


「わらわを守るため………」



話しを大人しく聞いていた魔王がポツリと呟く。

気になっていたことが、ようやく私にもわかった。
何故、魔王が下界にいたのか。暫く城に滞在することになっていたのか。……すべて、キングの計らいだったのだ。


「私たちが、君を保護している間に彼女たちが大臣の動きを見張っていた、という訳だよ。彼女たちの予想より大臣の動きが早かったけどね」


「そうか…。わらわだけが、何故1人で下界に
。と不思議に思っていたが、そういうことだったのだな」


「お1人にしてしまって申し訳ありませんでした…」


魔王の目線に合うようにしゃがみ、本当に申し訳なさそうに謝るメイド。



「わらわを思ってのことだろう?お主が謝ることではない」


魔王は、苦笑いで返す。



「魔王様…」






「今回は皆、ありがとう、なのだ。わらわを守ってくれて」


この場にいるみんなをぐるっと見回し、照れ臭そうに笑う魔王。


そしてすぐ真剣な顔になると、キングの方へ顔を向ける。



「下界の王よ。此度のこと、誠に申し訳なかった…。わらわの所為で下界に迷惑をかけてしまった、すまなかったのだ」



そう言って、キングに頭を下げる。その態度はただの女の子でもなく、1つの世界を束ねている者―魔王としてのものだった。


「いや、こちらとしても、先代たちの意志を受け継いでいる、君が魔王でいてくれないと困るからね」


そう言って、優しく魔王の頭にポンと手を乗せるキング。

………すぐに魔王が振り払ったが。