ルンルンと、鼻歌を歌いながら私の隣を軽快に歩く魔王。
「死神!下界のお祭りとは、どんなものなのだ?」
「実は、私も行ったことがないのよ。だからわからないわ」
正直に答えると、魔王はふむ。と言った後、何か考え込む様に俯く。
「…?」
どうしたのかと、様子を伺っていると、突然顔をあげ、私を見上げてくる。
「では、今日が2人のお祭りでびゅーと言うことだな!」
なんだか嬉しそうに笑いながら言っているが、ちょっと違う気がする…。ま、いいか。
「お2人して、どうしたんですか?」
玄関に続く1階の廊下を歩いていたら、ちょうど魔法使いがいて、私たちに声をかけてきた。
「これから、魔王様と城下町のお祭りに行くのよ」
「そうなのだ!魔法使いよ、お主もどうだ!?」
興奮しているのか、魔王は鼻息を荒くしながら、魔法使いを誘う。
「…そうですねぇ。女性お2人だけでは、心配ですし、僕もご一緒します」
にこにこと魔王の提案に乗る魔法使い。
魔王は、はしゃいで喜んでいる。
「大勢で行く方が楽しいに決まっているのだ!」
スキップでもしそうな勢いで歩いていく魔王を、魔法使いと一度目を合わした後、2人して笑った。
「そうじゃ!キングは…」
「ダメです」
魔王の言いたいことがわかったのか、言葉の途中で、ぴしゃりと魔法使いが否定する。
「アナタ、キングに対してなかなかキツイわね…」
まぁ、当たり前か、とも納得してしまう私もいた。