この学校はクラス発表を


事前に説明会の時にしていた


私は自分のクラスに入った。


何人かの女子がもう話し相手を


つくったのか笑顔で話している。


す、すごい…


私はちょこっと人見知りだから


そんなにすぐ仲良く話したりできない


黒板を見た。そこには出席番号が


書かれていて自分らの席が


わかるようになっている


どうやらあいうえお順。


私は一番窓際の後ろの方。



私の名前は、森田夕奈だから


後ろのほうなのだ。


机にいきかばんをつるして


そこへ座る。


「…」

暇だ。


すると近くで話をしていた

女の子たちの会話が

聞こえてきた。

「私の彼氏、クラス別なの。
 もぅ、ほんっと最悪~」

「ぇーうちはもともと彼氏
他校にいくつもりでぇ」

「ぇえ、もしかして遠距離?」

「そぅなのぉ」

…なんという会話・・・






なんていうかみんな


彼氏いるんだ…


別につくりたいわけじゃ


ないけど関心する。


私は付き合うどころか


初恋もまだ。


それ以前に好きっていうことが


わかんない。


ちょっとだけ興味はある。


漫画とかドラマとかで


めちゃくちゃ運命的な恋を


見るとしたいと思わなくもない。


でもそうならないんだもん


ぁあ、もぅこの人を手放したくない


とか


笑顔を見ると胸がキュン


とかまったくわかんなぃ。


まぁ、いいや


大人になったら分かるかも


だって私まだ子供だから


そう思っていると女の子の


話の話題があることに変わった


「ねぇねぇ知ってる?
このクラス、イケメンが
入ってくるんだって」

「ぇっうそぉはやく
みたーい」

「どこ中なの?」

「…中らしいよ」

「まじで~」

はぁ…

イケメン…


テレビとかでイケメン


のモデルとかジャニーズ


とかよくでてるけど


それもいまいち理解不能。


しかも彼氏いるのにイケメンで


喜んでいいのかな


その時女の子たちの視線が


一気に教室の入口に向いた



私は何事かと思いそちらを向いた


 
───ドキン


初めての感覚が私を襲った


人に対して心臓が


こんな反応するのは


初めてだった


イケメンだ…


私は初めて思った。


今、教室を入ってきた男は、


髪は少し長め、ちょこっと


不良っぽい。だけど顔だちは


イケメンという言葉が


ぴったりという感じ。


そして少し優しそうな顔。


私は、ついその男の動きを


目で追いかけた。


よく見てみるとズボンは腰まで下げ


シャツのボタンも何個か外していて


あきらかに不良。


その不良は黒板を見て


自分の席を確認すると


自分の席にむかう。


…あれ、なんかこっち来てる。


その不良は私の横の席にカバンをおいて


そのまま教室をでていった


ぇっ、隣の席なの!?


「やだっ、めちゃくちゃイケメン
じゃん!!」

「どうしよう、彼氏よりかっこいいかも」

「やばっ」

女の子たちはそれぞら好き放題に


ゆっている。


さっきの感覚は何…?


もう、さっきの感覚は


とっくに消え去っていた
ボーっとそんなことを


考えているとチャイムが


鳴り始めた。


朝の休み時間の終わりの


チャイムだろう


その時また女の子の視線が


入口にむいた。


あの不良がかえってきた。


しかし私の心臓はなんとも


なかった。


ぁあ、さっきのは


気のせいだったのかもしれない


そのままその不良はわたしの隣


の席に近づいてきた。


────ドキン、ドキン


えっ!?


また心臓がうるさく


なりだした。


気のせいじゃない!?


どうしたの、ぇ、何!?


不良は席に座る。


するといきなり机にうつ伏せになった。


横顔はこちらに向いていて


目はつむっている。


私は顔をそらした。




ドキドキしすぎてやばい…


心臓がうるさい。


すると先生が焦りながら


教室に入ってきた


「ぁーごめんごめん
いろいろしてたら遅れて…」

ぇ、ちょっと先生きたよ!


「じゃ、点呼をはじめる。
1番 安藤…2番 井上…」


ぁあ!点呼はじまっちゃた!


「…16番 本川仁智矢(モトカワニチヤ)」

黒板を見ると16番は隣の席。


へぇ・・・


本川仁智矢っていう名前なのか。


なんか名前までかっこぃぃ…


んじゃなくて!!

 
 「・・・」


「ん?本川仁智矢?」


ほら先生困ってるじゃん


隣をチラチラ見てみるけど


起きようとする様子がない。


んーもぉー!


「本川くん・・・っ
本川くんっ点呼だょ…!」

私は必死にヒソヒソ声で


起こそうとするけど


起きない。私は意を決して


手で体をゆすった。








すると本川くんは眠そうに


目を開けた。


「…誰?」


ちょ、


お超してあげたのに


誰って・・・!


でも確かにいきなり


知らない人に起こされたら


そうなるかもしれないけど・・・


しかも声が眠そう。


「本川仁智矢」


気づくと先生が本川くんの席の横で


たっていた。


ぁあ、先生おこってる・・・


無理もないよ・・・


普通は入学式の朝くらいは起きてるし


「お前は入学式が終わって

解散後、職員室に俺のとこに来い」


先生はそう言ってまた点呼の


続きをしはじめた。


           

    ✽    ✽    ✽




入学式は体育館で行われて


お昼には終わった。


本川くん・・・あれから先生のところに


いったのかな




私はそんなことを考えながら


帰りのバスに乗り込んだ。


なんとなく本川くんが気になる。


まぁ、いってるよね


初めての学校だし・・・


その時1人の男がバスに


乗り込んできた。


ズボンは腰までさげてシャツのボタンは


何個か外しているイケメン・・・



…本川仁智矢



先生のとこいってなかったの?


それともはやく終わってきたの?



しばらく本川くんをみていたらふと目が


合った。


でもすぐ逸らした。



なんだか無性に恥ずかしくなったから



ぁあ、顔が熱いっ



私の心臓はドキドキいっている。



私はずっとうつむいていた



ふとちょっと顔をあげる


本川くんの頭が私の


席から3番目前の座席から


ひょこっとでている






ほかに何人か学校の生徒や


普通の乗客は座ってるけど


きれいなちょこっと茶色めの髪は


その中でも何かオーラがある


すると座ってから何分も経たない


うちに本川くんは私のいる座席に


むかって歩いてきた。


えっ・・・


まだバスはどこのバス停にも


到着していない。


そして私のいる座席のところまで


くると体をこちらに向けた。


「隣、いい?」

「ぇ、あ、うん」

本川くんは私の横の座席に座った


近い・・・


私はちょっとのけぞるような体


の傾きになった


「なんで、ちょっと傾いてんの?」


私の異変に気づいた本川くんが


ズバリしてきする







本川くんはおもしろそうに


こちらを笑いながら見てくる


ぅう・・・


恥ずかしすぎるよぉ~っ


「・・・な、なんでもない・・・です・・・」


私はこの状況に耐えられず、


うつむく


本川くんのほうは笑うのをやめ


横の座席に座る


「なんか一人じゃつまんない
だょね」


・・・でも私の横じゃなくてもいいよね?


ほかにも生徒はいるんだし。


「ぁ、それとさ…ごめんな、あの時」


私はぱっと顔をあげて横を見た


ん・・・?


私なにかされたっけ?


「いや、いきなり、誰?とか
初めてあった人に言う言い方
じゃないなぁ、と思って」


ぁあ!


朝のホームルームの・・・!


「いいよ、大丈夫。全然
気にしてないよっ」


まさか朝のことで謝って


くれるとは思わなかった


私だってその時は少しカチンとは


きたけど本当に全然気にしてなかった







そこで私はあることを


思い出した


「ぁ、そういえば
本川くん、先生のとこいった?」

そうだ、私は最初、これを

気にしてたんだった!


「ぇ?何で?・・・ぁあ・・・!!」



「忘れてたぁ」


本川くんはあんまり落ち込んだ


様子はなく、ははっと笑う


「帰りにゆってくれたら
よかったのにー」


ぁあ、ほんとだょ


帰りにゆってあげてたら


よかった・・・


「ごめんね・・・」

私はまたうつむく


すると本川くんの驚いた声が


聞こえた


「嘘だって!!」


ぇ・・・?


顔をあげて本川くんの顔を見る


「そんな本気で責めてるわけじゃ
ないからな!?」


本川くんは慌てて言う


そ、そうなんだ・・・


私はてっきり責められてるのかと・・・













それから本川くんは何も


喋らなくなった


ど、どうしよぅ!


私、絶対つまらない女


だと思われてるっ


何か話題、話題っ


でも共通する話題がわからない


しばらく沈黙が続いたが


ふと私は視線を感じて


横をふりむいた


その時、本川くんとしっかり


目が合った



────ドキン



ぁ・・・


また、この感覚・・・


・・・ドキ、ドキ、ドキ


どうしたんだろう・・・


鼓動がどんどんはやくなる


息が詰まりそう


ただ目があっただけなのに


するとさっと本川くんは目を


そらした


本川くんは何もなかったかのように



冷静に前を向く




まだ鼓動がはやい・・・


なんで!?

目が合っただけだよ!?


それなのになんでこんなに


ドキドキするの・・・



てゆうか本川くん、さっき


私のこと見てたよね?


ぁー何考えてるのか


わかんないょぉ・・・


それとこの感覚の


正体も。


「あのさ、名前、何?」

はっ


私は我に返った


「ぇ、ぁ・・・森田夕奈です」


私は頭だけでちっちゃく


お辞儀をした


「森田ってどこに住んでんの?」

「愛羽(アイワ)町だょ」

「ぇ、マジで?隣町じゃん!」

「そうなの!?」

私は目を丸くした

「じゃぁ、木井町?」

「・・・」

ぇ?


ちがうの?


隣は木井町のハズなんだけど・・・


本川くんはじっと私のほうを


見てくる













「ぇ、ぁ、そうそう」


本川くんは我に返ったように


言った


ぁあ、よかった!


てっきり私が間違ってるのかと


思った・・・


「お隣さんだね!」


私は本川くんの方を


見てにこっと笑った


その時ちょうど愛羽町と書かれた


看板の立っているバス停についた


「ぁ、着いた着いた

じゃ、また明日ね♪」

私は横にいる本川くんの足


に気を付けながら


バスの通路に出た私は手を振った


すると本川くんは何か


とまどっている




はっっ・・・・・・・




男の子って手を振り返すの


抵抗あるのかも・・・!!!



しかし本川くんは笑顔で


手を上げるだけだけど


かえしてくれた



それから私はルンルンで家まで



帰っていったのだった