ただ、その事実よりも私はあるこ とに驚く。
彼らが鞘から刀を抜いた。
「……多勢に無勢だってのに、ち ょっと卑怯じゃないか?」
皮肉を込めて言うと、彼らの瞳は さらにギラギラと光りだす。
「それと、その刀。刃引きしてあ るんだろうね? してなきゃ、
違反で警察に捕まるよ」
最後の切り札。 銃刀法違反という言葉を出したと 言うのに、男達は刀を納めようと しない。
それどころか、何を言ってんだコ イツという侮蔑(ぶべつ)の声が、 聞こえてきそうな顔だった。
(仕方ない……)
私も臨戦態勢につかねばと思い、 竹刀を袋から取り出す。
それと同時に、男達が一斉にこち らに向かってきた。
まずは一人の初太刀を受け止める 。
しかし、その時。
パキリと嫌な音が私の耳に届く。
「え……」
そして私は、
相手の刀が、竹刀に深く食い込ん でいるのを見てしまった―――。
一気に血の気が下がる。
「おいおい、
どこへ行きよった?」
こちらへ重心をかけながら、男は 私にそう告げる。
そして、彼の背後と私の背後から 気配を感じ、
ら手を離し、相手の向こう脛を蹴 りあげる。
男がその痛みに刀から手を離し、 しゃがむと、私の背後と目の前に 顕れた男達が息を呑む。
それと同時に、嫌な音が響く。
その音と同時に、生温かく、
った飛沫(ひまつ)が私の頬と髪に かかる。
月の青白い光で見たその紅い飛沫 を見て、私は戦慄(せんりつ)を覚 える。
―――やっと、思い知ったのだ。
ここは、私の知っている場所では ないことを。
ここは、銃刀法がないことを。
(冗談じゃないっ!)
それと同時に、今の状況を冷静に 思い知った。
私はこいつらに殺されそうになっ ている事に―――。
真剣を持っている相手に対して、 今の私の武器は竹刀だから到底敵 わない……どころか、
利がある。
ここが小路の小路だか
幸いにも、
らよかった。
あんな刃渡りの長い刀は攻撃範囲 が制限され、攻撃方法が頭上から 振り上げるか、突きによる刺突攻 撃のような感じになる。
さらに、私にとって人気のないこ こは、一番安心できる。
私は急いで竹刀を手に取り、居合 いの構えを取り、
。
それを見た相手は訝(いぶか)るよ うに私を見たけど、すぐに笑みを 浮かべる。
(絶対に使いたくなかったけど… …。この場を起死回生―――とい うか、苦肉の策を使うしかない! )
私は覚悟を決め、全神経を集中さ せる。相手をこちらの間合いに引 き込むためと、本当の意味での切 り札を使うために―――。
「おいおい、
らこねえなら、
っ!」
言っているそばからこちらへ駆け 出している足音が、私の耳に届く 。
でもまだだ。 まだ遠い。私の間合いじゃない。
足音が近づく。 ザッ、ザッと、土を蹴る音が聞こ える。
そして、何か揺らめく物を感じ、 私は瞬時に目を開く。
相手の驚いた顔が目の前にある。 そして、彼が自身の刀を私に向か って振り下ろす前に、私は素早く 竹刀を振る。
彼らが鞘から刀を抜いた。
「……多勢に無勢だってのに、ち ょっと卑怯じゃないか?」
皮肉を込めて言うと、彼らの瞳は さらにギラギラと光りだす。
「それと、その刀。刃引きしてあ るんだろうね? してなきゃ、
違反で警察に捕まるよ」
最後の切り札。 銃刀法違反という言葉を出したと 言うのに、男達は刀を納めようと しない。
それどころか、何を言ってんだコ イツという侮蔑(ぶべつ)の声が、 聞こえてきそうな顔だった。
(仕方ない……)
私も臨戦態勢につかねばと思い、 竹刀を袋から取り出す。
それと同時に、男達が一斉にこち らに向かってきた。
まずは一人の初太刀を受け止める 。
しかし、その時。
パキリと嫌な音が私の耳に届く。
「え……」
そして私は、
相手の刀が、竹刀に深く食い込ん でいるのを見てしまった―――。
一気に血の気が下がる。
「おいおい、
どこへ行きよった?」
こちらへ重心をかけながら、男は 私にそう告げる。
そして、彼の背後と私の背後から 気配を感じ、
ら手を離し、相手の向こう脛を蹴 りあげる。
男がその痛みに刀から手を離し、 しゃがむと、私の背後と目の前に 顕れた男達が息を呑む。
それと同時に、嫌な音が響く。
その音と同時に、生温かく、
った飛沫(ひまつ)が私の頬と髪に かかる。
月の青白い光で見たその紅い飛沫 を見て、私は戦慄(せんりつ)を覚 える。
―――やっと、思い知ったのだ。
ここは、私の知っている場所では ないことを。
ここは、銃刀法がないことを。
(冗談じゃないっ!)
それと同時に、今の状況を冷静に 思い知った。
私はこいつらに殺されそうになっ ている事に―――。
真剣を持っている相手に対して、 今の私の武器は竹刀だから到底敵 わない……どころか、
利がある。
ここが小路の小路だか
幸いにも、
らよかった。
あんな刃渡りの長い刀は攻撃範囲 が制限され、攻撃方法が頭上から 振り上げるか、突きによる刺突攻 撃のような感じになる。
さらに、私にとって人気のないこ こは、一番安心できる。
私は急いで竹刀を手に取り、居合 いの構えを取り、
。
それを見た相手は訝(いぶか)るよ うに私を見たけど、すぐに笑みを 浮かべる。
(絶対に使いたくなかったけど… …。この場を起死回生―――とい うか、苦肉の策を使うしかない! )
私は覚悟を決め、全神経を集中さ せる。相手をこちらの間合いに引 き込むためと、本当の意味での切 り札を使うために―――。
「おいおい、
らこねえなら、
っ!」
言っているそばからこちらへ駆け 出している足音が、私の耳に届く 。
でもまだだ。 まだ遠い。私の間合いじゃない。
足音が近づく。 ザッ、ザッと、土を蹴る音が聞こ える。
そして、何か揺らめく物を感じ、 私は瞬時に目を開く。
相手の驚いた顔が目の前にある。 そして、彼が自身の刀を私に向か って振り下ろす前に、私は素早く 竹刀を振る。


