大会が終わったあと、ちょうど大 会が行われた場所の近 くに、父方 の親戚への挨拶をしに、ちょっと 皆と別れ た時にトラブルが発生し た。
「なんで降るかなー…」
いきなり雨が降ってきたのだ。
防具と竹刀のせいで傘なんてさせ ないので、軒がとても 広い所で雨 宿りをした。
けれど、雨はまだまだ止まなかっ た。
「もう……。早く伯父さんや伯母 さんに挨拶しに行きた かったのに ……」
独り言を言っても解決しないけど 、そうでもしていない と、暇すぎ て退屈だった。
それからしばらくして、やっと雨 が上がった。
けれど、一難去ってまた一難。
今度は濃霧が辺りを包み込んでい た。
「んー……。どうしよう……」
私は少し躊躇った。
「……まあ、通りの歌と標識を見 れば、何とかなるよね 」
そう高を括ったのが、そもそもの 間違いだと気付かずに 、私は濃霧 の中を歩きだした。
しかし、異変は早々に訪れた。
「あれ?」
京都はとても古い町並みなのだけ れど……。
その中にでも、たまにビルやらマ ンションだとか、ケー キ屋さんだ とかの現代(いま)を感じさせる物 が混じって いたのに―――。
今、周りに広がるのは、同じ瓦屋 根で、似たような形の 家屋ばかり だった。
また、コンクリートで固められた 歩道を歩いていたはず なのに、こ の時の私は、学校の運動場ような 『土の上 』を歩いていた。
「ここ……どこ?」
そして私は、もう一つ重大な事に 気付く。
もう一度周辺を見渡してみる。
「…………ない」
街灯はおろか、標識さえもなかっ たのだ。
電柱はもともと、景観をよくする ために地下にあるって 聞いていた けど……。
「街灯と標識がないっていうのは 、どゆこと?
思わずそう口に出さずにはいられ なかった。


