「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」


ミィがコクリと頷くと、店員が、私達を席へと案内した。


甘味処「和の心」は、「真心の和心を」がモットーの、私達の行きつけのお店だ。

木造建築独特の柔らかな木の香りが、心を落ち着かせてくれる。


「…んで、成瀬君の事、一体どうするつもり?」


突然の核心を突いた質問に、私はお冷やを吹き出しそうになった。


「ど、どうして分かったの?」


おしぼりで口を拭いながら、必死で平静を装う。

この事は、まだミィには言ってなかったのに……


「…あのねぇ、英語のテストより、よっぽど簡単だよ。
今日一日中、成瀬君見ながらぼーっとしてたら、バレバレじゃん。」


テーブルの上に置いてある、メニューを引っ張り出しながら、
何でもない事の様に、キッパリと言い放つ。


「まぁ、デザート頼んでからでいっか。コトも好きなの頼んじゃっていいよ~。」


子どもの様に目を輝かせながら、メニューを開いて品定めを始める。


今日はいつもより、長話することになりそうだなと、和服姿のウエイトレスを見ながら
思った。