「お、おい綾瀬?体調悪いのか?」


だけど、泣くわけにはいかなかった。急に泣き出すと成瀬君が困ってしまう。全身に力を込めて、必死で涙を抑えつける。


「ううん。なんでもない。」


「そうか。ならいいんだけど・・・それじゃあ、今日は楽しかった。ありがとうな。」


「うん。私も楽しかった。それじゃあね。」


成瀬君が私に背を向けて、自分の家へ戻っていく。私はそれをただ見送ることしかできなかった。