成瀬君、突然メールしてしまい申し訳ございません。

私の方からお話したい事があるので、もしよろしければご連絡下さい。


「う~~ん。ちょっと硬いというか丁寧すぎるような気がする。」


イマイチ気持ちが込もっていないような感じを受ける。自分の気持ちを込めつつ、もうちょっとライトな感じに訂正してみよう。


成瀬君、突然のメールゴメンね。

もし時間があれば、ゆっくりお喋りしたいので、返信下さい。いつまでも待ってます。


「・・・これは、最後のフレーズがまるで演歌ね。しかも失恋を歌ったヤツ。」


というか、たった2行のメールに試行錯誤しているなんて生まれて初めてだ。

自分で納得できるようなメールが作れなくて、いつまで経っても送信ボタンへと手が伸びない。


ちょっと休憩したら?と言わんばかりに、空腹を伝える音が、部屋に鳴り響く。

そういえば目が覚めてから何も食べていない。意識し始めるとどんどん何か食べたくなってくる。


「下に何か食べる物あったかな?」


腹が減ってはなんとやら。美味しい物食べてリラックスしてから、もう一度メールを作ろう。

何千回と行き来した階段を使って、私は台所のある下へと降りることにした。


「あれぇ?何も無いじゃない。カップ麺も使い切ってるみたいだし、また買ってくるようにお母さんに言っておかないと。」


冷蔵庫に食材は眠っているのだが、私の料理の腕から考えると眠ったままにしておく方が良いと思って手を付けていない。


「スーパーで何か食べる物買ってこようかな。お菓子も切らしちゃってるし。」


気が付けば3時を回っている。急いでシャワーを浴びて、動き易い服に着替えて、空腹を満たす為、外へ出た。