「そういうミィは、国語得意じゃん。私日本人なのに、国語さっぱりなんだよ?
それに国語って、勉強してもなかなか成果出ないし。今度やり方教えて欲しいよ。」


国語がさっぱりな日本人である私の名前は、綾瀬 琴(あやせ こと)。

高校2年生の17歳という、子どもでも大人でもない微妙な年頃だ。


「ん。いいよ~、教えてあげる。またテスト時期近付いてきたらね。
それはそうと、先生可哀想だね。もう抜き打ちじゃなくなってるし。」


そうだねと2人で笑い合う。

そんな他愛もない話をしている内に、教室が多くの人で埋まっていく。


「うわっ!もうこんな時間じゃん!コト、お互い頑張ろうね。」


「うん。私もそろそろ教科書見直すよ。」


ミィは急いで、開いたままの教科書に目を通し始める。

時計は8時45分を指していて、ホームルームまで後5分くらいしかない。


そろそろ、彼がやってくる時間だ。


自然と胸が熱くなって、呼吸が速くなる。
早く会いたいと、そう思ってる自分がいた。


ドタドタと廊下から聞こえてくる足音を聞いて、「きたっ!」って喜んでいる自分が恥ずかしかったけど、彼の姿を見た瞬間、そんなのは吹っ飛んでいた。