恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~


「ねね、綾瀬さん。見てよこのお金!持って帰りたいよね~。」


会計係で私とペアの水野さんが嬉しそうに、箱をジャラジャラ鳴らして中身を見せてくる。概算で3~4万円くらいありそうだ。


「持って帰りたいけど、共有財産だからねぇ。これだけあれば、好きな服とかCD沢山買えそう。」


「にしても、今日は晴れて良かったな。金、土と雨降ってたから、グラウンドの状態はあんま良くないけど。さーて次は誰が来るかな。」


森山君が、へラを2本使って焼きソバをかき混ぜる。ソースの香ばしい匂いがブワっと辺りに広がった。すかさず扇いで、歩いているお客様へお届けする。


私達の焼きソバ屋の他に、手軽に歩いて食べれるたこ焼き、うどん、おにぎり等、様々な店が出店している。


生徒と、先生と、地元のお客様の声が混在して作られる喧騒と、様々な食べ物の匂いが混じった空気は、文化祭特有の物だ。


いつもと違った雰囲気が楽しめるから、本当に今日は晴れて良かったと思う。
それに、雨降ったら、ダンスが中止になっちゃうしね。


「おう。いらっしゃい成瀬。もうクラスのほとんど全員が焼きソバ買っていったぜ。」


そうそう、成瀬君とダンスなんだってば。ほんとに楽しみ…って成瀬君っ!

煙に誘われてやって来たお客様は、成瀬君だった。