恋愛喫茶店 ~恋と一緒にスイーツを~

「成瀬君、どうして転校しちゃうの?」


憂鬱ついでに、成瀬君に質問する。内容は皆と同じだけど、私の口で質問したかった。


「別に…何でもない。」


質問の内容は皆と同じ。なら、回答の内容も皆と同じ。

明らかに何でもありそうな口調で、成瀬君は何でもないと口にする。


「転校するって寂しくならない?」


切り口を変えて質問し直す。

この時の私は、意地になっていたのかもしれない。踏み込んだ質問だとはわかっていても、それを止めることができなかった。


「もう慣れたよ。」


踏み込んだ足が、たった6文字の言葉に弾かれる。


言った時の、成瀬君の感情を殺した表情と素早い応対が、この言葉が嘘であることを明確に示していた。


でも、これ以上は踏み込めない。さっきの言葉には、嘘の他に、はっきりとした拒絶が含まれていたから。


「そっか。だけど、皆はきっと寂しいと思うよ。」


だから、一方的に私の考えだけを伝えて、この話題に幕を下ろすことにした。


いつか本当の事を言ってくれる時が来るのを、ただ願いながら。