それは遠い記憶____。
川原で三人。
男の子二人と私。
お花をつんで遊んでた。
『なーみゆう。それ、なに??』
私の手には、綺麗な花の冠。
『んふふ、これはねぇ、”やくそく”のかんむりだよ』
『なにそれなにそれ、みゆうちゃん教えてっ』
『みゆうの、”けっこん”する人にあげる大切なかんむりなんだよ』
私は、ぎゅっと”約束の冠”を抱きしめる。
『けっこん??』
『うん。みゆう、このかんむりを誰かにあげるの。で、その人と大きくなったらけっこんするんだぁ。だから、”やくそくのかんむり”』
『へー。じゃ、オレがもらってやるよ』
『ずるい!!オレがもらう~~』
『えぇ?二人とも、みゆうの未来の旦那さんになりたいの?』
『うん、オレがねみゆうちゃんの旦那さんになったらねぇ…いーっぱいちゅーとぎゅーしてあげる!!!それで、いっぱい大好きって言ってあげるよ!!』
『オレはそんなようちなことしねーよ?オレは、毎年みゆうのたんじょー日にでっかいバラの束やるよ。みゆうが抱えきれないほどおっきくてキレーなやつを。』
____そのあと、私どうしたんだろう。
ダメだ、そこの記憶だけすっかり消えてる。真っ白だ。
でも、かすかに覚えている。彼らのこと・・・
オレ様でイジワルで、でも笑顔が優しかった彼と
甘えんぼで元気で積極的な笑顔が可愛かった彼。
私は、二人と大の仲良しで。
でも・・・中学入学と同時に、みんなばらばらになったんだよね。
今、私は高校2年生。
・・・もう、5年近く会ってないのか・・・。
なら、無理もないよね。
覚えてるわけがない。
彼らと川原で遊んだことなんて。
5年どころじゃない。
もーっと昔だもんね。
幼稚園の頃だっけ???
それも忘れちゃったよ。

